プンタ・トンボで野生のペンギンと戯れる~アルゼンチン、パタゴニアの旅(14)
1/24 トレレウ~プンタ・トンボ~トレレウ
(前回の続き)
ホテルの朝食。代り映えせず、いつもの通り食物繊維補給のためオートミールを山ほど食べる。
空は、いつ雨が降ってきてもおかしくないくらい曇っている。Tシャツ、短パン、サンダルだとちょっと涼しい。
空を眺めながら、ホテルのロビーで待っていると、プンタ・トンボのツアーのワゴンが迎えに来た。街をまわり参加者をピックアップして、総勢10人ほど。ほとんどがご年配の夫婦。英語は私だけで、あとはスペイン語。ガイドのおじさんが、みんなにスペイン語でガイドした後、私にだけ英語でガイドしてくれる。
トレレウの街の由来などを聞きつつ、昨日、バスで走った荒野の一本道を逆にたどる。1時間くらい走って、分かれ道を海のほうへ。プンタ・トンボの看板発見。また、乾いた荒野の道を30kmくらい走ってプンタ・トンボの駐車場に到着。
トレレウとプンタ・トンボ、そしてバルディス半島の位置関係がわかる地図。
トイレとビジターセンター、カフェ、そして入場料を払う窓口がある。
それらの向こうには、ペンギンの海が広がる。
ビジターセンターは、ペンギン博物館。
再び車に乗り、海岸のそばの駐車場へちょっと移動。そこから、ペンギンのコロニーへの遊歩道が始まる。
ガイドさんが、なぜここに巨大なペンギンのコロニーがあるのかから、ペンギンの一年の暮らしまで、歩きながらマンツーマンで英語で説明してくれる。
おお、さっそくペンギン発見!
写真!と思うが、あいかわらずガイドさんが歩きながら説明を続け、立ち止まってもくれない。
ペンギンだけではなく、グアナコもいる。
ペンギンとグアナコは、お互いに全く興味がないようだ。
ペンギンは、遊歩道のそばにも巣をつくっている。
親ペンギンと、親ペンギンにぴったりと寄り添う子ペンギン。だいたい子供は2羽のようだ。
子供はさかんに「キュウキュウ」と鳴いているが、親は目を閉じて微動だにしない。
海岸に沿って遊歩道がのびる。ガイドさんが解放してくれたので、のんびりと歩きながら写真を撮る。
ガイドさんがしゃべり続けていたわけがわかった。
慌てなくてもペンギンはわんさかいるのだ。
ペンギンは、地面に穴を掘って巣をつくる。土が硬い場所にはコロニーはできない。
遊歩道の終点、海岸を見下ろす展望台にやってきた。
穏やかな波が打ち寄せている。両側を岬に挟まれた弓型の海岸で、いつも波が穏やかだそうだ。そのため、ここにいはたくさんのペンギンが集まり、世界一のマゼランペンギンのコロニーとなっている。
ガイドさんが手招きしているので、展望台の反対側に行ってみると、そこには巨大なソーセージが!なわけない。アザラシの一種であるオタリアが1頭、寝そべっていた。ビーグル水道で見たときは大きな群れだったが(「ペンギンに会いにビーグル水道へ~南米・パタゴニアの旅(20)」)、こいつは、雌の奪い合いに負けた雄なのだろうか。
内陸に目を向けると、、、うわ~、ゴマ塩のような無数のペンギン。
群になって海に出てゆく。
名前は知らないが、小型の猛禽類。
彼が狙っているのは、ペンギンの死骸。ここには無数のペンギンがいて、そして地面に横たわる死骸も多い。生き抜くことは大変だ。
ペンギンが最優先。
君たち、そこが好きなのね。足音がうるさいと思うんだけど。
ここのペンギンは全く人を恐れない。オーストラリアやニュージーランドのペンギンは、物音ひとつでフリーズするのに。
このフォーメーションの親子ペンギンをよく見る。たぶん、もう一方の親が海からエサを持ってくるのを、風をよけつつひたすら待っているのだろう。
駐車場へ戻る。
風は冷たくて強い。昨日の街の地獄の暑さが嘘のよう。
近寄ってみると、ペンギンの羽はかたい鮫肌のよう。羽がモフモフしているのは雛だけだ。そのかわり雛は水に濡れると死んでしまう。
ペンギンは力が強い。くちばしで突っつかれると肉がえぐられる危険があるので、絶対に手を出してはいけないとの注意を受けた。
見かけによらずタフなのだ。
駐車場のわきのカフェで遅いランチ。
ツアーに参加しいたおじいさんにすすめられるまま、ちょりパンを注文。炭火で焼いた太いソーセージを割って、好きなソースをかけて、パンにはさんで食べる。肉がブリブリ、肉汁ジュワー。アルゼンチンの国民食だそうだ。
最初にアルゼンチンに来た時に、アルゼンチンの人はとても親切だと思ったが(「エビータの墓参り、レコレータ墓地~南米・パタゴニアの旅(22)」)、やっぱり親切だった。ツアーに参加しているおじさんおばさんが、店員のスペイン語を片言の英語に訳してくれたり、頼んでもいないのに席を取ってくれたりする。
ひるがえって日本はどうか。京都の定食屋で、外国人観光客が食券の自動販売機の使い方が分からず、間違ったボタンを押し続けているのに、誰も助けてあげない、といった状況だ(私は助けてあげようとして、やっぱり間違ったボタンを押してしまった、、、)。
「おもてなし」という日本語は商売のための言葉なのだろう。
ブエノスアイレスから来たという若い人と、お互いつたない英語で会話する。富士山と渋谷の交差点に行ってみたいと言っていた。両方とも人が多くてヤダな~、と言ったら、それが見てみたいらしい。
他にアルゼンチンはどこに行ったのかと聞かれ、ブエノスアイレスからウスアイアまでバスで行ったことがあると答えたら、アルゼンチン人にはそんな勇気はないと。日本人はすごいと。そうです、日本人はすごいのです。
帰りのバスは爆睡。5時頃ホテルに戻る。
シャワーを浴び、一休みして8時頃、ディナーのために街に出る。トリップアドバイザーで人気の店に2店ほど行ってみたが、まだ閉まっていた。
当てもなくぶらぶらとバスターミナルまで歩いて行って、なんとなくバスターミナルのはす向かいにある小さなレストラン”Mi destino”に入る。客は私だけ。
たった一人の若い女性の店員さんはアットホームな応対。壁には家族の写真らしきモノクロ写真。雰囲気がよい。
どこからきたのと聞かれる。日本と答えると東京かと聞かれたので、Siと答える。
すると彼女は、壁に貼ってある大きな世界地図の東京に赤いピンをさした。その世界地図には、ヨーロッパの都市を中心に、たくさんのピンがさしてあった。
私は、この店に来た初めての日本人のようだ。
鶏胸肉のロースト、レモンソース。うまい。胸肉をこんなにうまく焼けるのは、さすがお肉の国の人。値段もリーズナブル。
グラスワインはあまりないので、思い切ってカベルネソービニヨンのボトル。
飲みすぎた。
レストランの外見はちょっと安っぽいが、バスターミナルに近く、いいお店なのでトレレウに行ったら入ってみては。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…