朝焼けのフィッツロイ撃て~アルゼンチン、パタゴニアの旅(6)


1/19 ポインセノット~トレス湖~トーレ湖~エル・チャルテン

前回の続き)

マットがツルツルして、寝返りを打つたびに滑った。
シュラカバなしの夏用シュラフでは寒くて、何度も目が覚めた。
そして、3時半、アラームが鳴る。

テントから外に出る。
風もなく静寂に包まれている。動くものもない。
時折、遠くのテントから人の声が聞こえるのみ。
空を仰ぎ見ると、そこは一面の星空。
小さな南十字星、そして天の川の切れ端のような大マゼラン。

よし、朝焼けに燃えるフィッツロイを見るために、昨日行ったトレス湖をまた往復しよう。

200119 フィツロイ・トレッキング、棒ラーメンを掻っ込む

とりあえず、棒ラーメンをちゃっちゃと作って腹に流し込む。
コッフェルは500mlの蓋つきマグカップ。

200119 トレス湖へのルートに人の明かり

4:25、ゴアアマを羽織り、ヘッドライトを装着して出発。
トレス湖へハイカーの明かりが点々と続く。

200119 フィツロイ・トレッキング、トレス湖への急登の途中

昨日は人で渋滞した急登も、今朝は自分のペースで登ることができる。
ただ、暗闇の中、ヘッドランプを持たずに、スマホの明かりで登ってくる?なハイカーはやっぱりいる。

暑くなってゴアアマを脱ぐ。
振り返れば、東の空の星は消え、空が薄っすらと明るくなってきた。
夏の北アの夜明け前のような清々しい雰囲気だ。

200119 登り切ってふっつろいが見える

急登を登り切り、フィッツロイが見えてきた。雲がかかっているな...
と、モレーンの裾まで来たとたん、風が強くなった。よろけるほどの風。
体温を奪われないように、バタバタとゴアアマを着る。

200119 トレス湖から東の空

東の空を振り返る。まだ日は出ていないな。よしよし。

200119 トレス湖到着

5:35トレス湖に到着。
到着したのはいいけれど。烈風。
立っていると風に押し倒されるので、先客は、風が吹いてくるフィッツロイのほうに背を向けて、岩陰に身を隠し丸くなっている。後から来た人は、よろけながら、身を隠すことができる岩を探している。

200119 フィツロイ・トレッキング、トレス湖からつるし雲

明るくなってきた。風下につるし雲がかかっている。
「静寂」というタイトルを付けたくなる写真が撮れた。しかし、現実は真逆。風の音以外何も聞こえない。それも「ビュー」とか可愛い音じゃなくて、「ゴゴゴー」と雪崩のような音と、ゴアアマのフードに砂が当たる「ザザザー」という音のミックスだ。頭からバケツで砂をかけられているかのようだ。

時々、地鳴りのような音がしてものすごい風が吹く。すると、まるでマシンガンか機銃掃射のように、バラバラと指先ほどの大きさの小石が風上から飛んでくる。痛いよ~。
風速30mは優に超えているのではないだろうか。厳冬期の赤岳で、強風に体を持ち上げられるという経験をしたことがあるが、それをしのぐ人生最強の風だ。
日の出までひたすら耐える。

200119 強風にひたすら耐える

後から来た人は、身を隠す岩がないので、風下をむいてひたすら耐える。座ったままズリズリと風に押されて動いている人もいる。

200119 フィッツロイが赤く染まり始める

周りが赤く染まり始めた。
風が弱くなった瞬間を狙って、振り返って岩陰からカメラのレンズをフィッツロイに向け、すぐまた岩陰に隠れる。そうしないとカメラや自分の顔が、小石の直撃を受ける。
フィッツロイを狙撃しているかのようだ。

残念ながらフィッツロイの山頂は雲に覆われたまま。この強い風のせいで、山頂に雲が湧いているようだ。

200119 フィツロイ・トレッキング、日が昇り始めた

日が昇った。6:15だ。
カメラのレンズには砂がこびりついている。それがキラキラ光っている。
この強風の中ではレンズを拭くこともできない。

200119 フィツロイ・トレッキング、トレス湖

きれいだな...

200119 フィツロイ・トレッキング、トレス湖からフィッツロイ

この風では、雲が取れるのは望み薄。
EOSのレンズには、砂が入ったようで、オートフォーカスがガコガコしている。サブのコンデジが壊れる前に下りよう。

最後にフィツロイの姿を目に焼き付けよう。
またいつか来ることはできるだろうか...

200119 フィッツロイ・トレッキング、トレス湖を後にする

6:30、ポインセノットのキャンプ場に向けて下山開始。朝日に向かって下りる。
今日も素晴らしい一日になるだろう。

200119 フィッツロイ・トレッキング、まわりの峰々も明るくなってきた。

周りの峰々も明るくなった。

200119 フィッツロイ・トレッキング、北アっぽい。

北アっぽい景色。薬師とか黒部五郎のあたりに見えないかい?
でもハイマツのように見えるのは、松ではなくて南極ブナ。

200119 フィッツロイ・トレッキング、朝日に湖面が光る

昨日歩いた湿原や、今日行くマドレ湖(Laguna Madre)の湖面が朝日に輝く。
人の少ない斜面を快適に下る。
でも走らないよ、トレッキングシューズだから。トレランシューズがよかったが、後日、氷河の上を歩くので、やむなく日本からトレッキングシューズを履いてきた。

200119 フィッツロイ・トレッキング、尾根道

リオ・ブランコ手前の尾根道。
植生が剥げて、広いガレになっている。オーバーユースである。
グローバル化に伴って、山の自然破壊もグローバルになっている。パイネのように入山制限を導入することは、自然を残すために必要なのだろう。

200119 フィッツロイ・トレッキング、リオ・ブランコ川

リオ・ブランコ川まで戻ってきた。
埃だらけの顔を洗う。うぉ、鼻から泥がでてきた。きっと、頭も耳の穴も肺の中も砂だらけ。

200119 フィッツロイ・トレッキング、ポインセノットに戻って朝食

7:15ポインセノットのテントに戻ってきた。お疲れ~。
まずはコーヒー。そして朝食。アルファ米のきのこご飯に、スーパーで買ったチーズを入れてチーズリゾット、そしてスープ。リンゴは残しておこう。
レンタルしたバーナーは、ごつくてよく燃える。

次回に続く)

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