ナスカからバスでアンデスを越え、クスコ、オリャンタイタンボ~ペルーの旅(8)
4/30 ナスカ~クスコ~オリャンタイタンボ~マチュピチュ村
(前回の続き)
寒さで目が覚める。
腕時計の高度計は4000mを示している。
「ゲロバス」と呼ばれるバスだが、ぐっすり眠っていて揺れたかどうかも分からなかった。
外を見ようとカーテンを開けると、窓ガラスは凍っていた。寒いわけだ。夜明けは近いようだが、まだまだ外は暗い。毛布を引き上げ再び寝入る。
バスがとまり目が覚める。
カーテンを開けて外を見る。朝だ。
アンデスの山あいの名も知らぬ街のバスターミナル。
朝食が配られた...
バスは、再び山道へ。いろは坂のように蛇行する道を上っては、峠を越えて下ってゆく。その繰り返し。
標高は3000mを超えているが、山々は緑に覆われ、高山という雰囲気はまったくない。
ただ、山の斜面は険しく、その谷には勢いよく濁流が流れている。浸食の激しさを感じさせる。
険しい山が姿を消し、しばらくするとくすんだレンガ色の建物に埋め尽くされた盆地が見えてきた。
かつてのインカ帝国の首都、クスコに到着だ。
バスは街の中心部から外れたバスターミナルへ。あたりはちょっと寂れた感じ。
ここからマチュピチュへの列車がでるオリャンタイタンボに行かなければならない。
オリャンタイタンボ行のバス乗り場は、このバスターミナルにはなく、2、3km離れた場所にあるようだ。どこだかよくわからないけど。
どうしようか...。ちょうど1時だし、とりあえず昼飯にしよう。
ターミナルの前にあった、いかにもローカルな薄暗いレストランに入る。
入口ところの黒板に書いてあった、一番上のメニューとジュースを注文する。
でてきたのは、ジャガイモのスープと、見た目がカレーのトウモロコシのドロドロに鶏肉が入っていて、ご飯にかける料理。ジュースは謎の真っ黒な液体(後にチャチャモラーダというトウモロコシのジュースであることが判明)。
全体的にまずくはないが、非常に薄味。ヘルシーと言えばヘルシー。ボリュームは十分。
なにより驚いたのがその値段。全部合わせて4.5ソル。およそ140円。昨日まで食べていた料理の値段の1/5~1/10だ。ローカルレストランと観光客向けレストランの値段の差が激しい。
食事が終わって店から出たところで、雨が降ってきた。
バスを探してウロウロする気力を失ったので、割高だがタクシーでオリャンタイタンボに行くことにした。バスターミナルに止まっていたタクシーが行ってくれるということなので、そそくさと乗り込む。
これで一安心、ではなかった。なぜかタクシーはガソリンスタンドへ。そして、この車を下りて、止まっているワゴンに乗り換えて、お金はそのドライバーに払えと言う。白タクじゃないか!
雨がジャバジャバ降っているので、ちょっと躊躇したものの金額を確認してワゴンに乗る。こちらは男2人だし、GPSで常に現在位置を把握できるから、まあいいか。
ドライバーは信じられないくらい運転が丁寧だった。
他の車が隙あらば、ガンガン抜きにかかるのに、このドライバーはマイペースでのんびり走り続けた。
畑が広がる台地を行く。時々街があらわれる。のどかな田園風景。
そして山に入って、岩壁が迫る渓谷沿いの道を行く。GPSでは、オリャンタイタンボは近い。
無事にオリャンタイタンボに到着。
険しい山にはさまれた、谷底の街。岩山の山肌には遺跡のようなものが見える。
ここはインカの要塞都市だったともいわれる。
中心部の広場を囲むように、カフェや土産物屋が並ぶ。
なんか疲れたので、まずはカフェで休憩。
重い腰を上げて街を散策。
広場から山のほうにもかって、いくつもの細い石畳の坂道が平行に延びる。坂道は石積みを持つ建物に挟まれ、秘められた街並みの雰囲気を醸し出している。が、見えている遺跡にどうやって行ったらいいか分からない。
なんとか遺跡の入り口にたどり着いたが、4時半にクローズ。現在の時刻は4時半...。クローズされてしまった。
気を取り直して、反対側の山の斜面にある遺跡に向かう。地球の歩き方によれば6時まで開いている。
石組のある遺跡が見えているのだが、なかなかたどり着けない...
何とか入口にたどり着いたのは5時ちょうど。入ろうとしたら止められた。なんと、遺跡は6時までは開いているが、入場は5時までとのこと。
不親切な地球の歩き方...それともカフェでのんびりしていた俺が悪いのか...
赤く染まる岩山を見ながら、途方に暮れる。
ここまできて、残念無念。
とりあえず、マチュピチュ村に向かう鉄道の駅を確認。
これは、ペルーレイルの切符売り場。切符売り場はもう一つ、インカレールのもある。
とはいえ、切符はすでにネットで購入済み。
オリャンタイタンボ駅のホームに向かう。どこから湧いて出たのか(列車からだけど)大勢の人がこちらに向かって歩いてくる。あの先に改札があるのは一目瞭然。
日が岩山の向こうに隠れると、肌寒くなってきた。カフェに入って時間をつぶす。今日はコーヒーばかり飲んでいる気がする。
7時半に改札を受けてホームへ。ホームはマチュピチュ行の列車を待つ人でぎゅうぎゅう。今にもホームから人がはみだしそうだ。
汽笛を鳴らし、目もくらむようなヘッドライドの光を灯して列車がやってきた。
やっと乗れる~、と思ったら、乗客を降ろして行ってしまった。
ただでさえ列車を待つ人で大混雑のホームに、列車から降りてきた乗客が混じって身動きが取れないほど。動いている列車にかすりそうになりながら、乗客が列をなして歩いていた。
そして、また、ヘッドライトを灯した列車がやってきた。今度こそ!と思ったが、またもや乗客を降ろして行ってしまった...どうなってるんだ?
そして、また列車が...二度あることは三度ある...
結局、さっきから奥に止まっていた列車に乗り込み、30分遅れで出発した。
列車の中も大混雑だが、全席指定なので慌てる必要はない。シートは対面式で、見ず知らずの人と向き合って座る。なんとなく気まずくて窓の外を見るが、真っ暗で何も見えない。
マチュピチュ駅に到着して改札をでると、そこは市場の中だった。改札がごみごみした市場に直結している。店は閉まり、閑散とした市場の中を観光客が右往左往している。出口はどこだ~。
ここぞと思われる方角に歩き続けて市場から出ることができた。ところは今度は宿を探して右往左往する。Google先生に教えを乞うがらちが明かない。広場にいた客引きに聞いて、なんとかたどり着くことができた。Google Map間違っとる。
もう夜も遅いので、部屋に荷物を置くなり夕食を食べに行く。
アルマス広場周辺には、観光客向けのレストランが並んでいるが、すでにほとんど閉店していて選択の余地はあまりない。とりあえず開いているところに入る。
ラムのローストだが...これは消し炭ですか?固くて苦いんですけど。
今回の旅で一番まずくて一番高い食事となった。マチュピチュでは、レストランはしっかり選んだほうがいいようだ。
釈然としない思いを抱えつつ、宿に戻る。
シャワーを浴びてベッドにもぐりこむ。
外からは列車が走るガタガタという音が、夜更けまで聞こえてきた。
参考
ペルーレイル:列車の時刻表、ネット予約など
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…