ルートバーン・トラック完遂、クイーンズタウンへ~ニュージーランド、ルートバーン・トラック(8)

11/23 ルートバーン・フラット小屋~ルートバーン・シェルター~クイーンズタウン

前回の続き)

パタパタとテントが風に鳴る。夜は明けたようだ。
6時起床。テントをちょっと開けて半身を出して、周囲をうかがう。
霧雨混じりの冷たい風が顔を撫でる。山は鉛色の低い雲に隠れている。

ルートバーン・フラットにて、Newzealand robin

テントをたたんでいると、小鳥がやってきて、私の周りで何かチョンチョンやっている。
New Zealand robinだ。テントにパン屑でもついているんだろうか。

ルートバーン・フラットから出発

7時半、出発。ルートバーン川の流れに沿って、下ってゆく。森の中の平坦なしっかりした道は、上高地から徳澤園へ向かう道とそっくりだ。
上のほうから、吠えるような風の音が聞こえる。ここではそれほどでもないが、山では風が強いようだ。

ルートバーン・フラットの末端

道が河原に出た。ここは、上高地?あれは明神?そんなこた~ない。
ここはルートバーン・フラットの末端。普通は川下に行けば、川は穏やかになる。しかし、ルートバーン川はここから急流となる。梓川とにてるな。

ルートバーントラック、罠の監視路?

罠を仕掛けた巡視路に踏み込まないための道標。

ルートバーン川、急流部

黒部渓谷のような、2、300mはあろうかという垂直な岩壁に挟まれた渓谷、その岩壁の中腹に沿って道はつけられている。ちょっとした枝沢でもU字溝のようなゴルジュになっている。

ルートバーン・シェルターの手前の森

再び流れが穏やかになり、ふかふかの苔に覆われた森だ。
ゴールは近い。頻繁にレインコートを着たハイカーとすれ違う。雨が強いんだけど、元気だなあ。

ルートバーン・シェルター

9時半ちょうど、バス停のあるルートバーン・シェルターに到着。かたい道を急いだのでふくらはぎがちょっと痛い。
振り返ると、ガスの切れ目に氷河の山が見える。うん、終わった。
天気が悪かった。このルートの売りである絶景はほとんど見えなかった。苦労して休暇をとったのに。
でも、1泊2日で大丈夫なことが分かった。また来よう。

ルートバーン・シェルターの世界遺産パネル

お約束の世界遺産パネル。何個目かな。覚えてないや。

手配しておいたワゴンにのって、ルートバーン・シェルターを後にする。
クイーンズタウンまでは、滝が懸かる山々や、ルピナスの花を見ながらのワカティプ湖畔の快適なドライブだ。留学中も何度もドライブした。その景色は、季節は違えど当時のままだ。

クイーンズタウンに戻る

クイーンズタウン到着。晴れ間が…

クイーンズタウン、BUNGI BACKPACKERS

宿に荷物を置く。下山したらシャワー付きの部屋のある宿にしたかった。でも私の予算内の宿はすべて満室で、結局、もとのバックパッカーとなる。

Cowsのシーフードパスタ

まずは昼めし。
留学中によくみんなで来た”The Cows”で、よく食べたシーフードパスタを食べる。そして、よく飲んだ、南島ダニーデンのエールビール”SPEIGHTS”を飲もう、と思ったらメニューにない。店員に聞いたら、やっぱりないとのこと。残念。
今からは想像もつかないが、当時私はビールが嫌いだった。そして、ここで出会ったSPEIGHTSは、私が生まれて初めておいしいと感じたビールだった。

ワカティプ湖の桟橋あたりを散歩

桟橋あたりをぶらぶらと散歩。
陽が差すと暑い。でも、冷たい風が吹いてパラパラと雨が降る。でも、また陽が差してきて暑い。
この繰り返し。

ワカティプ湖

湖から強い風が吹いてくる。鳥たちが凧のように宙に停まる。なんか楽しそう。

宿に戻って、洗濯してお昼寝。

クイーンズタウン、H.M.S Britannia

雨の音で目が覚め、慌てて洗濯物を取り込む。
よし、もうやることがないから、晩飯を食べに行こう。

ニュージーランド料理の名店、H.M.S Britannia。予約をしていなかったが、時間が早かったことが幸いして、テラス席が空いていた。

Britanniaのラム・シャンク

うっほほーい!山盛りラム・シャンク(ラムのすね肉のトマト、ワイン煮込み)。ナイフなんかいらない、フォークをさすと、身が骨からはらりと離れる。トマトのうまみとラムのうまみが溶け合っている。文句なくうまい。ニュージーランドのワインもうまい。
通りからは、ストリートミュージシャンのギターの音、正面には、リマーカブルの秀峰。とりあえず予定のルートも無事に歩き終えた。最高だ。

スカイラインゴンドラ

カフェでコーヒーを一杯飲んだ後、終了間際のスカイライン・ゴンドラに飛び乗る。終点からは、足元のクイーンズタウンの街並みと、ワカティプ湖を囲む山々を望むことができる。
雲があって、残念ながら夕日に焼ける山を見ることはできなかった。ただただ、静かに日は暮れていった。

明日はクイーンズタウンを離れる。
街の様子は、留学していた頃とだいぶ変わってしまった。それとも変わってしまったのは自分自身だろうか?
いずれにせよ、時の流れは残酷だ。ここでの出来事は、目をつむれば今でもはっきり見ることができる。でも、そんなものは、今現在、どこにも存在しない。
何というか…若き頃ここで得た物、そして、時の流れで失ったもの、新たに得たもの、それを全部足し合わせて、今の自分は当時より成長しているだろうか?今の自分は当時の自分より幸せだろうか?

そういえば、当時よく聴いていたプリンセスプリンセスは唱っていたっけ、
「今で~も巧くやって~るなら、 忘れるなよ!いつまでも GROWING UP!」

次回に続く)

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