圏谷を下り氾濫原のサイト場、ルートバーン・フラットへ~ニュージーランド、ルートバーン・トラック(7)
11/22 マッケンジー湖小屋~ハリス・サドル~ルートバーン・フラット小屋
(前回の続き)
ランチの代わりに小屋の中でチョコバーをかじっていた。小屋の中に逃げ込んで20分くらいたっただろうか、外が明るくなってきた。
ザックを背負って外に出る。
雲が切れ、日が差してきた。地面に積もった雪がみるみる融けてゆく。日差しは強い。
ハリス・サドルから、展望が期待できるコニカヒルに登ろうと思っていたが、積雪のため通行止め。ざ~んねん。
少し下ると、小さな池があり、その先には、澄んだ水をたたえるハリス湖(Lake Harris)がある。風が吹いてガスが薄くなると、湖の向こうに、重なるような山々が影のように見えてくる。しかし、すぐにまた隠されてしまう。快晴だったらどんな景色だったのだろう、ざ~んねん。
エミリーピーク(Emily peak)からオーシャン・ピークに続く荒々しい岩尾根。
この岩場をトラバースする道は、積雪期は雪崩の多い危険個所だ。
ハリス湖を過ぎ、道はカール(圏谷)へ下りてゆく。
ハリス湖からの流れは、いくつもの滝となってカールの底を流れ下っている。沢の音が谷を囲む山々にこだまする。
カールの底はこんな感じ。
晴れていたら素晴らしいところなんだと思う。でも今は、灰色の低い空から小雪が舞い、冷たい風が吹きあげる。
雲が切れ青空がのぞく。ああ、やっぱり空がきれいだ。
日も差す。日差しが熱い。ニュージーランドの日差しはなぜか、日本の日差しより格段に熱い、下手したら痛い。
さっきまで雪が降っていたのに、ちょっと陽が当たるだけで暑くなってきた。汗をかいてきたのでゴア雨を脱ぐ。
ルートバーン・フォールス小屋(Routeburn Falls Hut)が見えてきた。
ルートバーン・フォールスに沿って、手すりが付けられた急な道を下る。
ルートバーン・フォールスの落差は176mと地図に書かれていた。どんな大きな滝かと思っていたら、屈曲しながら多段で落ちる滝だった。たしかに、”Fall”ではなくて”Falls”と書かれている。
滝の横にあるルートバーン・フォールス・ロッジの横で一休み。暑いわ~。
また苔むした森の中へ。鳥の声が賑やかだ。
また雨が降ってきた。ゴアアマを着て、自転車でも下れそうなしっかりとした登山道を小走りで下る。
道が急斜面をトラバースするところで森が切れ、足元に広がるルートバーン・フラットを見下ろすことができる。
端正な三角形の山は、真っすぐにこちらに向かって伸びている、HUMBOLDT山脈の末端の尾根だ。その尾根の向こうには、氷河が懸かる峰が見えるはずなのだが...
ルートバーン・フラット(Routeburn Flat)にでた。道に何かいっぱい落ちている。このあみあみした木の実のようなものはなんだ?
ルートバーン・フラットのサイト場に到着。きれいな小屋が建っている。でも、小雨の中、テントを張る。
ルートバーン・フラットは、ルートバーン川のNorth BranchとLeft Branchの合流点の氾濫原で、山々に囲まれた平地になっている。
滝の音がする。目を向けると、山腹に小さく白くルートバーン・フォールズが見える。
晴れていたらどんなに気持ちのいいところだっただろう...
ああ、濡れた服を乾かしたい、シュラフを乾かしたい。それもかなわぬ夢。
ここにも鳥がたくさんいる。広大な自然の中、私など全く存在しないかのように、私の目の前で睦んでいる。
ここには2時半に到着した。日没までまだ6時間くらいある。
結論から言えば、ここで泊まらなくても、下山できた。ルートバーン・トラックは、1泊2日のコースだった。
することがないので、テントを打つ雨音を聞きながら、シュラフで寝っ転がって、クイーンズタウンで仕入れたワインとチーズで一杯やる。
いい気分で一杯やっていると、管理人がサイトのチケットを回収に来た。明日の天気予報は豪雨なので、山に入らないようにと言われた。
昨日、今日と天気は良くはなかったが、とりあえずトラックを完遂できたので良しとする。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…