森と湿原の道~三ツ石山、乳頭山周回縦走(2)

9/20 滝ノ上温泉~三ツ石山~八瀬森山荘

前回の続き)

覆いかぶさるような笹から突然解放される。

藪に囲まれた湿原

そこは藪に囲まれた小さな湿原だった。小さいながらもちゃんと池塘もある。
 誰もいない、我々だけのプライベート湿原。
 とても静かだ。なぜか鳥のさえずりも聞こえず、かすかな風の音だけが聞こえる。

つかの間の休息をとり、再び笹の中に突入する。
 刈払いが入っていないのに、道はしっかりと踏まれている。そのため、道はU字溝のようにえぐれ、そこに水がたまり、道が湿原の沼地のようになっている。笹で足元がよく見えないので、ヌルッと滑って、ドボンとはまる。
 前を歩いていたメンバーが、ずるっと滑りその拍子にデジカメを藪の神様にとられた。藪の神様はよく、タオルだの地図だのを持って行ってしまうが、カメラを持っていかれた人をはじめて見た。よくよく探すと、足元の泥の中に沈没していた…防水仕様でよかったね。
 ちょっと気を抜いた瞬間に、私もついに右足が撃沈。靴が真っ黒な泥の塊と化す。おまけに右舷前方より浸水。そして左足も…。以後、歩くごとに、靴が「グジュ、グジュ」という、憂鬱な状態が続く。

1268.9mの大白森の先の稜線
 
1268.9mの大白森の先の尾根の屈曲部で、また突然視界が開けた。
 これから歩く稜線、そして岩手と秋田の県境の山々、山上の湿原、そして深い森が見渡せる。気持ちのいい尾根道だ。靴はグジュグジュしてかなり気持ち悪いが。

八瀬山荘までは多くの湿原がある。

ひとしきり笹を漕ぐと、開けた湿原の一角にひょっこりとでる。この稜線はこの繰り返しだ。第一湿原、第二湿原、、、と数えていたが、きりがないので途中でやめた。

八瀬森山荘

大場谷地の大きな湿原を横断して、ちょっと森の中を登ると今日の目的地、八瀬森山荘があった。年期の入った避難小屋だが、きれいに使われていて、清潔で快適だ。
 水場は登山道を少し戻ったところにある大場谷地の脇を流れる小川。う~ん、これは湧き水だろうか?湿原の水だろうか?そのまま飲んで平気かな~?ちょっと悩んだが、とりあえずビールを冷やす。
 早々と宴会をしていると、次々とパーティーが到着する。こんなところに来るなんて、物好きな人もいたもんだ。

次回に続く)

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