真紅の湖、ラグーナ・コロラダ~南米4ヶ国の旅(17)
9/3 サンペドロ・デ・アタカマ~ラグーナ・ベルデ~ラグーナ・コロラダ
(前回の続き)
温泉でさっぱり、まったりして、ガタガタと揺れる単調な道にうとうととしてきた頃、前方に白煙発見。
地面から絶え間なく噴気が上がっている。ソル・デ・マニャーナ(Sol de manana)、「明日の太陽」と言うらしい。これがなぜ明日の太陽なんだ?残念ながら私のスペイン語力では、その答えをガイドさんから聞き取れない…。ゆっくりしゃべってくれるんだけど。
ガイドさんはゲイシール(間欠泉)と言っていたけど、これはただの噴気で間欠泉ではない。去年ゲイシールに行った私が言ってるんだから間違いない!?(「巨大間欠泉ゲイシール&世界遺産シンクヴェトリル」)
あっ、ピクーニャだ。ピクーニャはリャマの仲間だが、とても用心深く人や車には決して近寄ってこない。私のカメラではこれが限界。もうちょっと近寄った写真はチンボラソに登ったときに撮ったものがある(「ベースに移動~エクアドル・チンボラソ」)。
土煙を上げる対向車とすれ違う。対向車のほとんどは我々と同じアタカマ砂漠縦断ツアーだ。
リャマがいるぞ、人家が近いな。それにしてもおもろい顔だ、と思ったらすぐに今夜の宿に到着。食堂で遅い昼食。そして部屋(男女共同の5人部屋)でちょっと休息。寝袋をもってこいと言われていたので、いったいどんな部屋だと恐れていたが、ベッドも布団もある普通のドミトリーだった。
そして夕方、本日の本当のメインイベント、ラグーナ・コロラダ(Laguna Cololrada)へ。
荒野を車で走ることおよそ10分。着いた先は…なんだこりゃ?鮮血のような真紅の湖だった。
ラグーナ・コロラダの赤はここに生息する「藻」の色らしい。3種類のフラミンゴが生息し、ラムサール条約登録地でもある。
ラグーナ・コロラダは”U”の字の形をしている。真ん中の半島部分が小高くなっていて、そこが駐車場になっている。そして、そこから湖に下る斜面は黒い溶岩質のガレになっている。おそらく、ラグーナ・コロラダは火山噴火に伴うカルデラで、駐車場は中央の溶岩ドームなのだろう。
それにしてもフラミンゴが多い。
フラミンゴは警戒心が強く、人が近づくとぷいっと向こうをむいて、そしらぬ顔をしてゆっくりと歩いて逃げてゆく。しかし、望遠レンズを持っていないので、なんとしてでも近寄らなければならない。フラミンゴを見ていて気付いた。群れの鳥がすべて同じタイミングで湖水に顔を突っ込んで餌をあさり、同じタイミングで顔を上げてあたりを警戒する。これを10秒周期くらいで繰り返している。そこで、顔を水に突っ込んだら、ほふく前進のごとくにじり寄り、頭を上げたらその場で固まる。それを繰り返して、なんとか近づくことができた。フラミンゴとだるまさんが転んだの勝負をした。
フラミンゴ以外にも鳥はいる。地味だけど。
まぶしい夕日は山の向こうに沈みつつある。急速に気温が下がり、冷たい風が身を切るように感じられる。一台、また一台とツアーの車が宿に向かう。
山の陰に日は沈んだ。しかし、標高5000mを超える山々はまだ夕日に染められている。
ヒリヒリしていた鼻から、今度は鼻水がでてとまらなくなっている以外は、体調は絶好調。このまま7000mの山にも登れる気がする。宿でぐったりしている人々を尻目に、力を持て余している私は宿の裏の丘に登って、夕暮れの砂漠の景色に浸る。ここには何軒ものホステルが並んでいる。
宿に戻るとちょうど夕食。パンにシチューにのびたうどんのようなパスタ。80度以下で水が沸騰する標高4000mでパスタは無理がある。女性たちは気分が悪いといいながらも、早口の英語でおしゃべりしている。ついてゆけん。「高所ははじめて?」とふられ、とりあえず「ヒマラヤやアンデスの6000m峰に登ってるから、4000mは快適さ」と答えてうけをとる。男性たちは気分が悪いといいながら、コカの葉っぱを噛んでいる。ここボリビアではコカの栽培は合法だ。
食後、ダウンを着て外に出る。満天の星空。アタカマ砂漠は世界各国の天文台がつくられるほど、星の観察に適したところだ。南十字が西の空に沈もうとしている。星の写真を撮りたいが、残念ながら三脚もレリーズも持ってきていない。セルフタイマーをセットして、レンズを上にして地べたにカメラを置く。そうやって撮った天頂付近の写真がこれ。さて、何座が写っているでしょう?
正解は真ん中にいて座、右下にさそり座。日本では南の空低いさそり座も、ここでは頭の真上だ。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…