デート沢でコケ、ネマガリタケと格闘~恋ノ岐川から平ヶ岳(2)

10/7 オホコ沢出合~平ヶ岳

前回の続き)

昨夜はかなり激しい雨が降っていたが、高台にテントを張っていたので、増水の心配もなく安心して眠れた。曇り時々小雨の天気…でも回復との天気予報を信じてテンションをあげる。

オホコ沢出合は一見、テントを張れる場所がないように見える。しかし、読者サービス。写真右の踏み跡をたどれば…

秋の泊まりの沢で一番嫌なこと…朝、びちゃびちゃの冷たい靴下を履くこと。でも今日は暖かく、そんなに苦にならなかった。そして増水が心配された沢も5cmくらい水位が上がっているだけだった。

121007恋ノ岐・遡行開始

オホコ沢出合から上部は川幅がぐっとせばまり、写真のような細い穏やかな流れに変わる。

何かと思えば熊の足跡。そう言えば今日は昨日とうって変わり魚影が濃い。熊も冬支度に忙しいか?

121007恋ノ岐・小さな滝が多い

うんざりするようなゴーロの小川が続くが、ときどき思い出したように小さい滝がある。しかし、昨日よりだいぶ渋い。なぜなら今年の夏の少雨のためか、ゆるい流れの滝がヌルヌルとコケに覆われている。滑る滑る。コケが怖くて一歩踏み出すのにやたらとためらう。

ゴーロが続くかと思えば、こんな釜もたくさんある。夏なら飛び込むが、今は濡れたくないのでいちいちへつって巻く。

121007恋ノ岐・紅葉はますます色づく

ほとんど傾斜のないゆるい流れを登ってゆく。しかし、着実に高度を上げている。木々の色がどんどん鮮やかになる。

うわ~、すべる。

121007恋ノ岐・紅葉のへつり

紅葉をふみふみへつって行く。

121007恋ノ岐・ルンゼの両門の滝

狭いゴルジュを通り抜けると、沢を挟むように両側から滝が流れ落ちていた。みごと、自然の造詣は美しい。ここが魚止めの滝らしい。

121007恋ノ岐・柔らかい岩のゴルジュ

沢はどんどん細くなり、沢を形作る岩も変わり、景色も変わる。柔らかい岩が水で浸食されてできた、丸みをもった岩のゴルジュが続く。

121007恋ノ岐・木登りをつかった渋い滝

8mほどの垂直の滝。渋かった。途中からホールドが細かくなり、それがコケでヌメる。滝が立っているので、滑ったら痛いじゃ済まなそう。そして途中で木が突き出ていてじゃまになる。トップはこの木を使って木登りで、無理やり突破した。トップの勇気を称えながら、ザイルを出してもらって登る。しかし、岳人で「デート沢」として紹介された沢が、こんな茶色のヌメヌメしたコケだらけでいいのだろうか…。

121007恋ノ岐・大ナメ滝が見える

別のヌメヌメした滝を巻いている途中に、ふと顔をあげると遠くに滝が見えた。でかい。ちょっとビビるくらいでかい。あれが最後の大ナメ滝か。

悪い予感的中。大ナメ滝はコケでヌルヌルのすべり台だった。私のステルスでは全く取っ掛かりがない。わずかなホールドや笹に体重を託し、スパイダーマンのように張り付くようにして登ってゆくが、10mほどでギブアップ。左岸の藪に逃げる。

121007恋ノ岐・藪に突入

トップが左岸の小沢を詰めてゆくので、なんか考えがあるのかしらん?と着いて行くと、単に藪の薄いところに引っ張られているだけだった。本流に戻るためにネマガリタケのモロ藪のトラバース開始。背丈を越えるネマガリタケが茂る急斜面を藪を漕ぎ進む。本流に戻るのに1時間ほどかかってしまった。

本流に出てすぐ、ザーザーと雨が降り出し、辺りがガスに包まれ始めた。勘弁してくれ…。地図上で登山道に近いところから真っ直ぐ登山道に上がろうという意見があり、再び藪漕ぎ開始。これが失敗の始まりだった。

水平距離では登山道に近いが標高差はあり、しかも小尾根をトラバースしなければならない。みんな必死で藪を漕ぐが、壁のようなネマガリタケ藪2ピッチ目、雨で濡れて笹はツルツル、ズボンはびしょびしょ、気温は下がる、日没が迫る、視界がないので気が滅入るはで、隊のペースがどんどん落ちてゆく。
がーっ、これがデート沢かー!こんなところに女の子を連れてったら絶対嫌われるぞー!藪のトップはラッセル並みにしんどいので誰かに代わって欲しかったが、そんな状況ではなく、藪慣れた私が一人偵察一人誘導で藪の中を走り回る。
1時間で50mちょっとしか上がれない、でも日没までには安全地帯まで行きたい。地図を睨みながら、あと40m、あと20m、と、うしろに声をかけながら、なんとかくじけることなく藪から脱出できた。
さっさとテントを張り、食事を済ませ、濡れたままのズボンでシュラフに潜り込む。は~っ、久しぶりに疲れた。

次回に続く)

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