溶岩地帯をさまよう~アイスランド&グリーンランド(14)
8/9 ランドマンナロイガル(ブラウヌウクル、ブレットニステインサルダ)~レイキャビック
(前回の続き)
トレッキングのために5時に起床。冷たい雨。この旅初めての本格的な雨。山は低い雲に覆われて見えない。食事をして雨が上がるのを待つ。
8時になると雨も小降りになって、なんとなく明るくなってきたのでとりあえず出発。馬と遭遇。馬も寒いのかかたまっている。そうか、サイト場がなんとなく臭いと思ったらこれだったのか…。
道標と踏み跡発見。ランドマンナロイガルをぐるりと周ろうと思っている。しかし、手元の地図はlonely planetからコピーした3cmx3cmくらいの小さな、ルートの点線と山頂の三角マークくらいしか書いていないざっくりとした地図。道標と踏み跡は心強い。おそらく正面の山が、これから登るブラウヌウクル。
浅い川にかかる小さな木の橋を渡る。車道には橋がないが、こんな、またげるくらいの川に橋がある。
踏み跡に従ってブラウヌウクルの斜面を登る。真っ黒いザラザラと崩れる斜面。富士山に似ているが、富士山の砂礫より細かく黒い。浜辺の砂山みたいに、本当に砂と小石だけでできているじゃないかと思えるほど。ただ黙々と登る。
だんだんと周囲の景色が開けてきた。虹が…でも稜線に出ると風がますます強くなり、雨も降り出して虹はすぐに消えた。打ち付けるような雨に我慢できずゴアアマを羽織る。
歩き始めて1時間弱で山頂に到着。雨でレンズが濡れ写真をとるのもママならず、風でゴア雨もバタバタと音を立てる。寒い。それもそのはず、気温は10度以下。秋の北アで雨に打たれているようなものだ。こんなところでぐずぐずしていたら疲労凍死してしまう。さっさと下りにかかる。
さて、道はどこかな…と見ると黒いザラザラの、おまけに吹きさらしのリッジに踏み跡がついている。あんなところ行くんかい!でもしょうがないから行く。強風にはためく雨具を押さえ、雨が顔にあたらないようにうつむいて、ズルズルと滑りながら尾根を下る。
あれ、踏み跡がなくなった?と思ったら、尾根の右側のザレた崖のような斜面にスキーのショートターンのシュプールのごとく細かくジグザグに踏み跡、というか崩れた跡がついている。こんなとこ行くんかい!たぶん今まで私が歩いたザレた道で一番急。池ノ谷ガーリよりはるかに急ではるかにザラザラ。足を前に出すたびに、岩雪崩のようにザザザーと溶岩の小石が崩れ落ちてゆく。スキーで滑り下りてしまいたいくらい。なんとかこの砂礫地帯が終わったと思ったら、さらに悪いことに赤土のヌルヌル地帯になった…。赤土グリセードで下る。
奇跡的に2、3回転んだだけで下りきった。下りたところはグロエナギルの河原。この川に沿って下りると先ほどの小さな橋に出る。風も雨も弱まり一息つく。
河原には2本ほど目印の杭が立っていたが、すぐに目印がなくなりルートを失う。lonely planetの心もとない地図で方向を確かめ(方向くらいしか確かめられない)、対岸に渡り踏み跡を探してさまよう。こんなところに羊もさ迷っている。
数は少ないが花も咲いていた。これは羊は食べないのかな。
対岸に渡って細い踏み跡を上流に向けてたどる。踏み跡に導かれるまま溶岩の丘を登る。展望もよく踏み跡ははっきりしてくるが、こんどは逆に尾根という尾根に踏み跡が錯綜している。次の目的地ブレットニステインサルダと思われる山を目指して適当に踏み跡を選んで進む。
ピンクの砂の蟻地獄のようなズルズル滑る斜面や、赤土のつまったヌルヌル滑る溶岩のルンゼを越え、なんとかブレットニステインサルダに取り付いた。振り返ればさっき登ったブラウヌウクルが大きい。石炭のように真っ黒だ。
単調な褐色のザレの斜面をひと登りでブレットニステインサルダ到着。相変らず空は重苦しい雲に覆われているが、雨と風はおさまった。
山頂からは360度の展望。この山頂の直下から溶岩が流れ出し、川を埋め、その末端にキャンプ場があるのがよく分かる。あちらこちらから噴煙が上がり、まだ火山活動が続いていることを思わせる。
縦走路とブレットニステインサルダへ登頂する道との分岐に戻ってきた。この縦走路はポウルスモルクまで続く3泊4日の人気のトレッキングコースになっている。目の前を次々と登山者が横切る。俺も行きたいな~。
なぜかここにだけ花が群生している。
山頂から適当にあたりをつけて、噴気孔のひとつにやってきた。硫黄臭い湯気が立ち込める。地面が熱い。さわらなくても下のほうから熱気を感じる。
溶岩台地を横切りヴォンドゥギルヤオイラル(たぶん)の谷に下りる。ここも一面ワタスゲ。ワタスゲ以外のものはないのか…
谷からまた溶岩台地に登り、12時ちょうどにキャンプ場に戻ってきた。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…