ハイランドど真ん中、アイスランドの地獄谷・ケルリンガル~アイスランド&グリーンランド(5)
8/5 レイキャビック~グトルフォス~ケルリンガル~ゲイシール~シンクヴェトリル~レイキャビック
(前回の続き)
氷河に削られたなだらかな地形、乾燥した大地、遠くには氷河をかぶった山々。これがハイランドだ。
乾いた石ころだらけの厳しい自然の中でも花をつける植物がいる。
ハイランドに咲く花その2。この花は乾燥していない場所でもよく見た。適応力がすごい。この独特の花の形のせい?
ハイランドを突っ切るように北上する35号線と分かれ、支線を東にケルリンガルに向かう。

朝の小雨がウソのように晴れ上がり、陽射しが痛い。そして道もどんどん悪くなり、上下左右に揺さぶられカメラを構えるのも難しい。ガコガコバンバン坂を登るとHofs氷河が眼前に広がる。すばらしい…。
さんざん揺さぶられた後、谷あいの小さなキャンプ場、アウスガルズル小屋に到着。残雪の山あいに立つ小屋、沢のほとりのサイト場、ここからいくつものトレッキングルートが延びている。ああ、ここに泊まって星を見ながらのんびりしたい…心からそう思わせる場所だ。小屋のテラスで昼食をとる。陽射しは強いが、風はひんやりと冷たくさわやかだ。昼食のメニューは「本日のスープ」とパン、コーヒー。山小屋の定番メニューのようだ。

アウスガルズル小屋からケルリンガルへ道はますます悪くなり、登り坂もきつくなる。のっぺりした山地から山岳地帯の様相を帯びる。西側斜面にべったりと残雪がついた山が見える。夏でもスキーをする人がいるそうだ。滑りて~、バックカントリーヤーの血が騒ぐ。
悪路の先には駐車場があり、そこで車を下りてストックを手渡される。ここから3時間のトレッキング開始。実はトレッキングの内容はよく知らなかったのだが、辺りは硫黄の臭いが漂い、山肌は黄褐色でボロボロと崩れ、箱根の大涌谷か立山の地獄谷のようだ。
完全に火山地帯。あちらこちらに噴煙が上がっている。いちおう踏み跡はあるが、噴気と雪で浸食され足元からズルズルと崩れる。極めつけは露天風呂。脱衣所も何もないが、みんなタオルで前を隠して水着に着替え、温泉の流れる川につかっている。聞いてないよ~、水着を持ってこなかったよ~。
どこもかしこも噴出孔だらけ、地面が熱い。日本だったら柵が張られて立ち入り禁止なんじゃないかな~。

噴出孔からはガスや熱湯が絶え間なく吹き出している。スプレーやガス漏れのようなシューシュー、ジュージューという音が、電車の騒音のようにあたりを支配している。
ガイドさんはここには数え切れないほどの色がある、と言っていた。確かにそうだ。
100年ほど前までは、一帯は氷河に覆われていたそうだ。しかし、火山活動が活発になり、温泉が勝って氷河はどんどん後退している。この山肌を覆っている雪は氷河?と聞いたらガイドさんは”Maybe glacier”(たぶん氷河)と答えていた。日本では今年、慎重な調査の末、三ノ窓、小窓、御前山雪渓を氷河と認定した。しかし、アイスランドではこの三ノ窓よりはるかにでかい雪の塊でも、氷河かどうか調べる人はいない。ヨーロッパ最大の氷河を持つ国だから当然か。

数え切れない色の一例。隣合った噴気孔でも泥の色はこんなに違う。
予定の時間を1時間ほどすぎているが、氷河にさわれるポイントまで行ったり、ここの岩石や動物の解説をしたり、ガイドさんはたっぷりサービスをしてくれた。結局4時間ほどトレッキングを楽しみ、ケルリンガールを後にして来た道を戻る。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…