富士山、滑り納め~富士山
5/26 河口湖口五合目~吉田口~八号五勺~吉田口~河口湖口五合目
バックカントリーは11月の立山に始まり、5月の富士山で終わる。と勝手に決めている。とは言え、富士山は天候に恵まれず、なかなか登れないのが現実だ。今回も週間予報ではずっと曇り。しかし、直前になって突然、晴れの予報に変わったので、ここぞとばかりに富士山に向かった。
朝7時。スバルラインの終点、河口湖口五合目。雪訓をのぞいて富士山に登るときにはいつも富士宮口だが、今回初めて吉田口登山道から登ることにした。富士宮口とちがって、みやげ屋やら食堂やらがずらりとならぶ観光地だ。阿里山に似ている。予報どおり富士山がきれいに見えている。期待が高まる。
しばらくは佐藤小屋に続く林道にそって、山腹をトラバースする。五合目でもまだ雪が残る。
トンネルの中にも雪が。腰をかがめて歩く。ちょっとでも体を起こすとスキーがガリガリと天井をこする。
六合目でトラバースが終わり、山頂に向けて溶岩の砂礫の道をザクザクと登ってゆく。帰りに滑り降りる吉田大沢の雪渓の流れを確認する。それにしてもなんだこの小屋は。
七合目、標高2700m付近で夏道が雪に覆われる。アイゼンをつけて真っ直ぐ山頂を目指す。ザラザラした砂利道を歩くより、雪の上を歩くほうがずっと楽だ。
標高3400m、本八合目。時々猛烈な風が吹き抜け、背負ったスキーがあおられる。そのたびにストックで頼りない耐風姿勢をとる。おまけに雪面はアイゼンを踏み込まないと刺さらないほど、硬くクラストしている。滑ったら楽に200mは滑落しそうだ。直射日光が当たっているのになかなか雪が緩まない。さすが北面は5月でも渋い。小屋の影で風を避け、30分ほど様子を見ることにする。
相変らず風が強く雪が硬いが、だましだまし八合五勺、3500mまで上がってきた。これから先は風を避けるところはない。ピッケルを持っていればなんていうこともないが、今日は初めからルンルン春山を期待していたので、ピッケルは持っていない。
先行している人たちをじっと眺める。風をやり過ごすため四つん這いになって雪面に張り付いていたりして、動いているより止まっている時間のほうが長い。決めた、ここで戻ろう。行こうと思えば行けるが、なんか楽しくなさそうだ。修行っぽい。
アイゼンを雪面に蹴りこんで両膝をついて体を固定し、最高地点での動画を撮る。しかし、体が風にあおられ、風に揺れるススキ状態でポジションが決まらない。
雪が柔らかいところを探し、スキーを履いてドロップイン。しかしガリガリ。フォールラインは何百メートルも下へさえぎるものもなく急傾斜で落ちている。おっかなくてうかつにターンできない。ほとんど斜滑降+横滑りで下りて行く。
3300mくらいから雪面がくさり始め、気持ちよく滑れるようになった。あまりに気持ちよかったので、須走口の方へ下り過ぎてしまった。またスキーを背負って100mハイクアップする…。そして夏道沿いに目的の吉田大沢へガリガリとトラバース。目の前に広がるカールのような巨大な沢が吉田大沢だ。
無事吉田大沢に入った。ここは日本か?と思うほどの雄大な景色。日本には私の想像を超える景色がまだまだたくさんあるようだ。なんかうれしい。
沢の中は風が弱く、吹き溜まりになっていて柔らかい雪面を快適に滑ることができる。広い。どちらに下りよう、と確認しようとした、らどんどん雲が上がってきて完全にガスに視界を閉ざされてしまった。3000mより下では、あちこちに岩が頭を出している。ガスの中にうすぼんやり影のように見えるだけなので、うかつにスピードをだせない。快適な斜面をそろりそろりと進む。もったいない。
こんなところにモンベルが。忘れ物をしてもここで買えばいい?
なんか中途半端だったが、これにて今シーズンの雪山は終了。
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…