青空の下、富士を滑る~富士山・宝永山

3/3 御殿場口新五合目~二合八勺~2400m付近~御殿場口新五合目

週末は復興支援山行として東北の山を計画していたが、天気予報は雪時々晴れ、などと怪しい天気。遠出して登れないとショックが大きいので、近場でお茶を濁すことにした。

120303富士山・太郎坊トンネル登山口目指すは富士・宝永山、そしてそこからの滑降。宝永山は富士山の山腹に穴を開けている寄生火山だが、およそ標高2700mと南アなみの立派な山だ。
登山口は御殿場口新五合目、冬は駐車場まで除雪されていないので、富士スカイラインの太郎坊トンネルの横から登る。


120303富士山・カモシカの足跡すぐさまカモシカの足跡と出会う。他にも謎の足跡があった。意外と野生動物が多いようだ。


120303富士山・大石茶屋御殿場口の大石茶屋。もちろん閉まっている。雨が降っているのでひさしを借りて一休み。
東京では3日ほど前に雪が降り、昨日も雨だったので、新雪たっぷりだと思ってきたが、積雪は10~20cmほど、おまけに昨日は雨だったようで、新雪はない。


120303富士山・雲の中を登る

新雪がないどころか、濃いガス+雨。風がないのがせめてもの救い。でも歩いているとめちゃくちゃ暑い。しまった、先週の丹沢も暑さに苦しんだのを忘れていた…。

ほぼ夏道にそって、まずは2万5千図上の二合八勺をめざす。

120303富士山・二合八勺

何にも見えない、地面と空の境目もわからない真っ白な空間を黙々と歩く。つまらん。歩き始めて2時間ほどして空中にボーっと何か浮いているのが見えた。思わず振り向いて、後を歩いている仲間に、私の幻覚でないか確かめる。近づいてみればそれが二合八勺の小屋だった。

120303富士山・二合八勺の小屋二合八勺の小屋は入れない。
雪がサラサラと打ちつけ、視界はほぼゼロ。天気の回復を待ってゆっくりと休憩する。


 

雲の切れ間から青空が見え、視界が晴れてきた。重い腰を上げて登りはじめる。コンパスは宝永山の尾根の付け根に切り、真っ直ぐに登ってゆく。雪面はカチカチにクラストにうっすらと新雪が積もっている部分と、かなり深い吹き溜まりが交互に現れる。なんとかシールだけで登れる斜度だが、私はスキーアイゼンを装着してサクサク登る。

120303富士山・宝永山に向けて

右手に富士山頂、左手に宝永山山頂を見ながら、広大でフラットな一枚バーンをただただ、ひたすら真っ直ぐ登る。転んで滑落しても行く手を阻むものはない…。だんだん日差しが熱いと感じるほど強くなってきて、場所によってはクラストした氷がバリバリと割れ始めている。

120303富士山・2400m付近

だんだん風が強くなり、同時に雪面が固くなってきた。ストックが刺さりにくいところもある。転んだらちょっとこわい。さらに、固い雪面に足を着くと「ブワーン」というような唸りが雪面の左右に広がる。うすうす感じていたが、クラストの下はしもざらめ雪でスカスカになっているに違いない。この傾斜ではピットを掘って確かめることもできない。上はカチカチの雪面、下はそれが弱層の上で太陽の熱で割れ始めている。上まで行って無事に戻れるか?悩む。でも悩むということは自分の技量が足りないということ。戻ることにした。

なんとかバケツを掘れる吹き溜まりを見つけ、シールをはずし滑降の準備をする。

 

本日の最高到達2400m付近の景色。青く深い空、チンボラソを思い出させる真っ白い広大な斜面
。風は強く雪煙が舞う。ここは厚い雲で下界と隔てられた別世界。

滑降開始!目の前に広がる斜面に飛び込む…と言いたいところだが、ガリガリの雪面が続くと思えば、不意にズボッとスキーが刺さるもろい雪面が出てきて滑りにくい。ここで転んだら二合八勺まであっという間に下山だ。慎重に斜滑降で下りる。

120303富士山・滑降開始

ひろ~い、ひろ~い。日本じゃないみたい。

120303富士山・また雲に突入天界終了。
ぶあつい雲に突っ込む。雲の中はますます視界が悪く、地面も空間も完全に白く溶けあって、自分のスキー板以外は足元の雪のデコボコさえ見えない。上下の区別もなく空間に浮いているような錯覚に陥る。ほとんど目隠し状態で、よろよろと歩くほどの速さで下るが、平衡感覚が狂い船酔い状態。


120303富士山・御殿場温泉会館完全にスキー酔いで、吐き気と頭痛を伴って登山終了。温泉でゆっくり療養。御殿場市街からちょっと箱根に行ったところに御殿場温泉会館がある。滑らかなアルカリ性単純泉。加水なし。なぜかシャワーも温泉。湯船は半分ガラス張りのサンルーフのようになっていて気持ちいい。


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