国境稜線を独り占め~谷川岳から三国峠(2)
11/4 水上~天神平~谷川岳山頂(トマノ耳)~万太郎山~越路避難小屋
(前回の続き)

なんと、地面にへばりつくように小さい黄色い花が咲いていた。朝晩は氷点下に冷え込み、雪も降るこの季節に誰にも見られることなくひっそり咲いている。
オジカ沢ノ頭到着。誰もいない。ここまで来た道も人の気配は全くない。笹を震わす風の音と、はるか下に見える赤谷川の沢の音だけが聞こえる。青い空と秋枯れの山々を独り占め。

再び下り始める。オジカ沢ノ頭をすぎて赤谷川源頭地帯に入ると、山深さはいっそう濃くなる。国境稜線の北側は急峻な崖、南側は広い笹原の斜面で、赤谷川に落ちていく。そして対岸にはいくすじもの谷に穿たれた、俎嵓から続く稜線が広がる。私は勝手に「ミニ飯豊」と呼んでいる。

なんの草だか知らないが、枯れ草色の道にこの濃い葉っぱがよく目立つ。
万太郎山の斜面を登り始める。振り返れば、オジカ沢ノ頭の影に隠れていた谷川岳、トマノ耳とオキノ耳が見えてきた。そしてその北にある茂倉岳も大きい。暑くて汗をかくが、時々吹く風は冷たい。山頂での景色を期待して休まず登る。

この悲惨な状況をツイートしようとしたが、携帯電話の圏外だった。
今日の宿は近い。ヤセた岩の尾根を下っていく。別に難しくないが、転んだら谷底までさようなら、という場所がある。風が強くなってきた。北からの風に飛ばされ尾根を越える雲が、様々に形を変えている。

秋の日は短い。天気図を書き終わる頃、ちょうど太陽はエビス大黒ノ頭に沈もうとしていた。
日没を見とどけて夕食の準備を始める。今日は新メニュー、豆カレー(お米に大豆を混ぜて炊いて、普通にカレーをかけただけ…)。夕食の準備をしながら一杯やるのが至福の時。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…