内蔵助平から旧日電歩道へ~剱岳・内蔵助谷(5)

9/25 剣御前小舎~内蔵助山荘~内蔵助平~黒部ダム~扇沢

前回の続き)

110925内蔵助平への道お花畑

内蔵助平は見えてもなかなか着かない。うんざりするような下りが続く。あち~、まだか~、うんざりだ~、とブツブツ言いながら下っていく。と、突然、沢沿いに大きなお花畑が現われた。神様が私を慰めてくれたのか?シシウドからアザミまで色とりどりの花が、まるで夏のお花畑のようにわんさか咲いていた。このルートの見どころの一つだと思う。

110925内蔵助平に到着ヌルヌルする道を下り、いくつも小さな沢を横切り、やっと内蔵助平到着。内蔵助山荘から3時間半。右は真砂沢、左は内蔵助谷出合を経て目指す黒部ダム。ここから少しは道が良くなるかと期待したが、ご覧のとおり道標が朽ちかけているような道だ。



110925内蔵助平は藪の原

内蔵助平…それは緑の地獄。谷底の平原は低潅木の森、そして背丈を越えるネマガリタケが壁のように密生する視界ゼロの藪だった。道はしっかりつけられているが、足元は沢だったり泥地だったりする。この藪に突入すれば10mも行かないうちに方向感覚をなくすだろう。地図とコンパスを使って進んだとしても、100m進むのに2、30分くらいかかりそうだ。よくもまあ、こんなところに道を作ったな。

110925内蔵助谷に沿った道内蔵助谷に沿って、小刻みにアップダウンを繰り返し、ときにはロープを伝い内蔵助谷出合へ下ってゆく。雨のときには歩きたくない道だ。



110925丸山の岩壁

内蔵助谷の左岸は、南東壁が黒部の魔神と呼ばれる大タテガビン、右岸が黒部の巨人と呼ばれる丸山東壁、両岸が圧倒たる岩壁となっている。岩壁を見上げ、威圧感を受けながら歩いてゆく。

110925内蔵助谷黒部川合流点

内蔵助谷の小さな枝沢を渡ると、黒部川本流が見えてくる。黒部川の岩壁の威圧感も相当なものだ。すぐに黒部川と内蔵助谷の合流点、内蔵助谷出合となり、道は旧日電歩道と合流する。

110925旧日電歩道の滝

旧日電歩道は良く整備された快適な道だ。この道は、もともと日本電力株式会社が昭和4年に電源調査のために小黒部谷~平ノ小屋間に開削したものだ。今では関西電力が登山道として毎年整備している。深く切れ落ちた急峻な地形で、土砂崩れや雪崩が多いため、整備のために多大なお金と労力をかけているとのことだ。

110925旧日電歩道は黒部川に沿って延びる

う~ん、絶景かな絶景かな。

110925旧日電歩道の大文字草のかたまり

なんだ?黒部は大文字草のスケールも違う。ひっそり咲く可憐な花というイメージがあったが、花束のようになって咲いている。でも良く見ると長い花弁が1枚しかないから別の花かな?

110925黒部ダム

ついに今回の終点、黒部ダムが見えてきた。観光放水の真っ最中で、巨大なコンクリートの壁から、爆発しているかのような勢いで水が出ている。これが見たかったのさ。

110925トロリーバス乗り場に出た黒部川にかかる意外としっかりした橋を渡り、最後の難所、黒部川右岸につけられた、黒部ダム駅までの標高差約150mの九十九折りの道を登る。登りきった所を矢印に導かれてトンネルに入ると、トロリーバス乗り場だった。まだ切符買ってないぞ。


110925牛肉弁当連休最終日にもかかわらず、心配していたほどアルペンルートや扇沢からのバスは混んでいなかった。途中、大町温泉で汗を流した後、松本に出て帰京の途につく。あずさの中で牛肉弁当とビールで乾杯。


(剱岳~完)

コメントはお気軽にどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です