マッキンリーも見損ねた~南米・パタゴニアの旅(26)
1/11 トロント~成田
(前回の続き)
首が痛くて目が覚める。窓は閉め切られ真っ暗な機内。窓のシャッターを恐る恐る開けてみる。すると強烈な日差しが機内に差し込む。見渡す限りの氷河、氷床。広大な凍てつくアラスカが眼下に広がっていた。
ぼちぼち乗客が目を覚まし始めた頃、機長から機内アナウンスが。「右手の窓より北米最高峰のマッキンリーが見えます。」あ~っ、しまった!反対側の窓際を予約するべきだった!マッキンリーを見損なった。ブエノスアイレス~成田のエアカナダの航路は、南米最高峰のアコンカグアと北米最高峰のマッキンリーのいずれも見ることのできる、超贅沢な航路だ。なのに両方とも見逃してしまった。
私が見ることができたのは、極北の太陽にまるで湖のように輝く巨大な氷河。
トロントを出発しておよそ7時間。ついに北米大陸を脱して大平洋ベーリング海にでた、と思う。上空から眺める景色は雪の積もった湿原を蛇行する川のようにも見える。しかし、これは凍った海に川のように流れる流氷だろう。なんとも自然の妙。

日本人の男性の客室乗務員が配膳してくれる。思いっきり日本語なまりの英語を話しているが、立派に世界を相手に仕事をしている。なんか勇気付けられる。
陸地が欠けたような湖。サロマ湖だ。18日ぶりに日本に帰ってきた。
空から見る日本は他の国と決定的に違う。森に覆われた穏やかな山々、そしてその森が街や海のそばまで迫り、人間の暮らしと一体化している。もちろん穂高を始めとして険しいと言われる山々もある。でも今見てきたアンデスやアラスカの山々と比べれば、飛行機からは山にも見えないちっぽけなかけらだ。広大な山脈というものは日本には存在しない。しかし、日本には広大な森がある。それはタクラマカン砂漠が広大な砂の大地であるように、日本全体が広大な森の大地と言ってもいいかもしれない。そこに人々が暮らしている。パタゴニアやニュージーランドの森が人によってハゲチョロケにされたことを考えると、日本の森は世界に誇れることだと思う。
久しぶりの日本を見てそう思った。
(南米パタゴニアの旅・完)
今回のコース
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山の大地と思いきや森の大地ですか
まさにその通りかもしれません
日本を覆う森は豊かで変化に富んでいてすばらしいと思います。
普段はあまり意識しませんが、海外に行くとそれを実感します。