久しぶり!ラス・トーレス~チリの旅(14)
11/19 チレーノ~ラス・トーレス~プエルト・ナタレス
(前回の続き)
風はなく、テントのフライをなでるように雪がサラサラといっていた。
テントの入り口を開けると冷たい空気が流れ込んできた。朝食は7時からだが、早めに行ってコーヒーを飲もう。
小屋の受付。ぶえのすでぃあす!
テーブルで昨日の中国人のおじさんがニコニコしながら手をふるので、その前に座る。
このおじさんは変わった人だ。
英語もスペイン語も全く話せない。中国系アメリカ人の若者とともにトレッキングしているのだが、一昨日知り合ったばかりだという。てっきりおじいさんと孫かと思っていた。
この若者は中国語は全く話せない。つまり、この二人はお互いの言葉が分からないまま、一緒に歩いている。若者に聞くと、言葉もわからないまま山の中を歩いているおじいさんが心配で一緒に行くことにしたそうだ。
若者のやさしさに感心した。それにもまして、地球の裏側の中国からたった一人やってきて、言葉もわからぬまま、ニコニコしながらトレッキングしているおじさんに心打たれた。
私もこのおじさんのようになりたい。
8時半、おじさんに別れを告げて、ラス・トーレスへ出発。
高曇り。ときにチラチラと小雪が舞う。でも寒くはない。
時間はたっぷりある。花の写真など撮りながらのんびり歩く。
今日は無風。でも谷間でも強い風が吹くらしい。木の枝が物語る。
谷の出口。ラス・トーレスのキャンプ場を見下ろす。
トレッカーが次々と登ってくる。団体客が多いようだ。さすが、世界を代表するトレッキングルート。
雲が切れて日が差してくると、今朝の雪などなかったかのように、たちまち暑くなってきた。
谷を出る。アッセンシオ谷が湖にそそぐ河口。不思議な風景。
久しぶり!
ラス・トーレスのキャンプ場に到着。前回、キャンプした場所だ(パイネ国立公園へ)。
ここまで来たら下山したも同然、と、ホテルのバーに入る。
窓の外を見ると…鷹が悠遊と庭を散歩している。
結局、今回もトレス・デル・パイネの基部を見ることができなかった。8年越しのリベンジもかなわず。何回来たら見れるのか。そもそも死ぬまでにまたここに来ることはあるのだろうか…
せめてもと、”Torres del PAINE”というビールを頼む。
ビールを飲みながら、窓の外の景色を眺める。
旅のメモを書きながら考える。まあ、今この時に、この景色の中にいてビールを飲める、それ自体が幸せなことなのだろう。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…