国境を越え、サンペドロ・デ・アタカマ到着~南米4ヶ国の旅(13)

9/1 サルタ~サンペドロ・デ・アタカマ

前回の続き)

アンデス4500mの乾いた高原を延々と走り続ける。

130901アルゼンチンのイミグレ

地平線の彼方に建物がぽつぽつと見えてきた。アンデスのど真ん中に小さな町がある。
 そして街外れには国旗をたなびかせた立派な建物、アルゼンチンのイミグレがあった。こんなところにわざわざつくるかい?周りは見渡す限りの砂漠、そして標高4500m、職員が高山病にもなりかねない。星はきれいだろうけど…。例のごとく出国カードに記入し(空路だと不要なのになぜ?)、ぞろぞろとバスを下りて建物に入り、窓口でパスポートにハンコを押してもらって、荷物をX線にかけておしまい。ああ、空気が薄い、太陽が目にしみる、乾燥して鼻がヒリヒリする。

130901標高4500m写真を撮った瞬間に4500から4495になっちゃったけど、4500mを越えている。

イミグレを後にすると、すぐにチリに入国したゲートを通過。本当に荒野にぽつりとゲートだけ。運動会の入場門みたいなやつ。イミグレはどこだ?


130901アンデス越え、チリ側の景色

チリに入国すると不思議なことに、全く別の場所に来たかのように突然景色が変わった。遠くの山々が雪に覆われている。そして雲のない紺の空とそれを映した紺の湖。青と茶色の世界から、青と白の世界に変わってゆく。写真では穏やかな静寂の世界に見えるが、バスがよろめくほどの強い横風がうなりをあげながら吹きつけている。
 

130901外気温は4℃外気温は4℃。1日の気温差も20℃くらいあり、標高による気温差もあり、暑かったり寒かったり大変なところだ。

チリの入国カード2枚組みを配られる、が、イミグレはどこだ?


130901アンデス越え、チリ側は雪が多い

アンデスの高原が終わり、太平洋側に近づくにつれてどんどん雪が多くなる。場所によっては積雪1mくらいはあろうか。アンデスのチリ側は太平洋側から吹く季節風がまともに当たるため、アルゼンチン側より降水量が多いのだろう。バスはスタットレスではないし、チェーンもつけないらしいので、これでちょっと雪が降ったら不通になるのは当然だな。

130901サンペドロ・デ・アタカマのシンボル、リカンカブール山

サンペドロ・デ・アタカマのシンボルリカンカブール山、5916mが見えてきた。目的地は近い。右隣のフリケス山も美しい。あ~、あそこでスキーがしたい。

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道の両側には雪が山になっているが、バスは相変わらず100km近い速度でとばしている。

130901アンデス越え、サンペドロ・デ・アタカマへ下る

平坦な高原が終わり、目の前の平原に向かって標高差2000mを真っ直ぐに下り始める。雪は消え、再び乾いた大地に戻ってゆく。
 普通ならヘアピンカーブにするだろう、というような急な斜面をほぼフォールラインめがけて下りて行く。バスのエンジンうなり続ける。道の左右にはいくつも待避所がある。どうしてこんな道をつくったんだろう?チリ人は曲がったことが嫌いなのか?

130901チリのイミグレ

無事に急斜面を下りきった。そこにシールをぺたぺた貼った小さい小屋があって、周囲には何台もトレーラーが止まっていた。チリのイミグレだった。チリに入国して3時間、標高2500mまで下りたところにやっとイミグレがあった。アルゼンチンは人里離れた4500mにイミグレを建てたが、チリ人は国境からはるか離れた標高2500mの街にイミグレを建てた。チリ人は合理的だ。

例のごとく入国手続きを済ませ、バスは出発。動き出してほどなくして乗務員がやってきて言う、
「おまえは、カラマだったな?」
「ちがーーーう!サンペドロ・デ・アタカマだよ!言ったじゃん!」
「さっきの街がサンペドロ・デ・アタカマだよ。」
「えーーーっ!」
やっぱりここは南米だと痛感する。大丈夫だと言う乗務員について運転席の後ろの席に移動する。そして、バスはもうカラマに向かう幹線道路に出てしまっていたが、左折するところを右折して大回りして、アタカマに戻ってくれた。1時間遅れているバスがこれでさらに20分遅れてしまった。ちょっと心苦しいが、まあ、ここは南米。お礼を言ってバスを下りる。

130901サンペドロ・デ・アタカマの街外れ

ここがサンペドロ・デ・アタカマだと言って下ろされたが、ここがどこだか全く分からない。地図もないし道標もない。小さな街だから適当に歩けば教会のある中心部に出るだろう、とたかをくくっていたが、歩いていたら街から出てしまった。夕暮れのリカンカブール山、茜色が見る見る暗くなってゆく。大いにあせる。ここは誰~、私はどこ~!

130901サンペドロ・デ・アタカマの入り口

地図発見。でもあまり参考にならない。でも通りの名前が表示されている建物がぽつぽつ出現し、現在位置はつかめた。

130901サンペドロ・デ・アタカマの教会

やっと教会発見。知らない街を歩くときは、遠くからでも見える教会の塔を目印にすることが多いが、ここの教会の塔は低くて近づかないと見えない。
 宿はこの教会の通りにあるはずだが、、、教会の周りを回ったが見つからない。もう一度、一軒一軒確認しながら探し、やっと見つけた。教会の塀と宿がつながっていて、教会の一部に見える上に、大きく「洗濯屋」という看板がかかっている。なんだいったい。さすが南米。

Hostel Worldで予約した宿だが、英語は全く通じない。誰かがもうチェックインしているとかなんとか言っているので、OKと言って部屋に案内してもらう。扉を開けるとそこには見知った顔。お互いに「おーー、」と第一声。ここで待ち合わせることになっていた友人だ。私の「おー」は、バスのトラブルがあったものの、予定通り落ち合えてほっとした「おー」。彼の「おー」は、全く英語の通じないところでの初めての一人旅、しかも日が落ちても私は来ない、そこでやっと私が目の前に現れたことの「おー」。これで一人旅はおしまい。これからは飲んで食っての弥次喜多道中。

130901夕暮れのサンペドロ・デ・アタカマ

お湯がしょっちゅうでなくなるシャワーを浴びて、ついでに洗濯をして、夕暮れの街に出る。街の中心部は10分も歩けば横切ってしまうくらい小さい。そこに旅行会社やレストランがすごい密度でならんでいる。日が暮れれば街灯がともされ、レストランを選ぶ観光客でにぎわう。さすがアタカマ砂漠ツアーやアンデストレッキングの拠点となる観光基地。でも実はチリでもっとも古い町の1つでもある。

130901アタカマでの夕食Caracoles通りにあるレストラン”La Casona”。ウッディで暖炉のある落ち着いた店内。テーブルには真っ白なナプキンとフォークにナイフ、ワイングラスがセッティングされている。概してこのあたりのレストランのレベルは高そうだ。値段も高い。
 さて、朝昼お菓子系だったのでがっつり食べたい。もちろん牛肉、ステーキである。付け合せのポテトはナトゥラーレが合う。分厚い肉がポテトの上にのっている。友人はその厚みを見て驚いている。そして今日から二人なのでボトルのワインを頼む。


次回に続く)

参考

サルタからサンペドロ・デ・アタカマへのバス
チリの”PULLMAN BUS“が運行している。WEBサイトから検索、予約ができるが、国民番号がないと購入できない。そのため、今回は旅行会社に手配を依頼した。

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