史上最多1988件の山岳遭難

警察庁から12年度の山岳遭難の状況が発表された。

平成24年中における山岳遭難の概況

これによると12年度の山岳遭難事故件数は1998件、遭難者数は2465人で統計を取り始めてから最多、そして遭難死者、行方不明者数は284人を記録した。

10年前に比べると倍近い伸びだ。私の実感では、うかつな登山者の割合が増えたのではなくて、登山者数の増加が主な原因だと思う。

40歳以上が占める割合が約75%、60歳以上が50%と恐ろしいことになっている。これは”中高年の登山者の増加x歳がいもなく無理をした”ということなのだろう。私も学生の頃は「なにがあっても死なない」と思って山に登っていたが、今は「ちょっと無理したらすぐ死んじゃう」と思うようになってきた。そう思えることが大切なのだろうな。

若いからって安心はできない。遭難の要因で一番多いのは「道迷い」で42%、1031人。どういうこと?まさか1031人が冬山や沢や岩や藪漕ぎで迷ったとは思えない。おそらくほとんどの人は、道があるのに道に迷ったのだろう。沢登や岩登りの遭難人数が、その極めて高いリスクの割には少ない(あわせて2.8%)であることを考えると、普通の山登りをする人のうかつな人割合は多いのだと思う。

遭難防止のため留意することがいくつかあげられていて、真っ先に登山計画書の作成、提出が書かれている。

当然だ。

「どっかに行っていなくなった」では、かえってたくさんの人に迷惑をかける。登山計画書を提出しない時点で、自己責任を放棄している(いなくなったことさえ誰も気がつかないなら別だけど。)
「遭難しないから計画書はいらない」という人もいるけれど、ちょっと論理破綻している気がする。

遭難防止として、他に「地図とコンパスの有効活用」があげられている。
 
あ~、一般論から言えばそうだけど、これはたぶんダメだ。

私の周囲のベテラン登山者でも、地図とコンパスで現在地を同定できる人はほとんどいない。道迷い遭難の本を書いたある大学の先生は、藪の中で地図とコンパスを使うことは無理だと言っている(そんなことはないけれど)。それだけ難しい技術だ。
 しかも、大半の登山者は地図というと「エアリアマップ」だろう。これじゃあ道の上にいるれば現在地がわかるかもしれないが、道をはずしたら現在地はわからない。

やっぱり登山道を歩く初心者には無難にGPSがおすすめかな。

いずれにせよ皆さん、山に登るときにはルートをしっかり調べ、確認の意味で計画書を書き、それを提出してから登りはじめましょう。

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