雪深い国師岳へ~甲武信岳から金峰山(2)


1/4 甲武信小屋~甲武信岳~ミズシ~国師岳の肩

前回の続き)

甲武信岳への登り

甲武信岳への登り

手早くテントをたたみ、6時半には出発して甲武信ヶ岳の山頂で日の出を見るつもりだった。しかし、-20℃の思わぬ寒さに厳冬期用の手袋をしている手もかじかみ、テントも凍って元の大きさにたためず、準備に手間取ったせいで甲武信ヶ岳に登っている途中で日が出てしまった。朝日に照らされた樹林の中を黙々と山頂へ急ぐ。

甲武信岳山頂から富士山

甲武信岳山頂から富士山

登りついた甲武信ヶ岳の山頂で我々をまず迎えてくれたのは富士山だ。今日は雲ひとつなく、そして風も弱く、真冬とは思えない穏やかな天気。ただただ寒いことを除いては…。

甲武信岳山頂

甲武信岳山頂

若干潅木が邪魔するものの、山頂からは360度の展望。富士山から南アルプス、中央アルプス、八ヶ岳と薄茜色の空をバックに白い山脈が連なって見える。

国師岳、金峰山の稜線と南アルプス

国師岳、金峰山の稜線と南アルプス

今日、明日と歩く稜線もすべて見えている。まず、中央を横切る稜線を右から左へと行く。そして左のこんもりとした山頂、国師岳を超えたところが今日のサイト場だ。そして明日はそこからまた稜線に沿って右へ進み、頂上だけ白く見える丸い山頂、金峰山に登って下山する。と、山頂で5分ほど写真を撮っていたら、デジカメの電池切れのマークが表示された。もう電池が凍ってしまったようだ。カメラをポケットにしまって出発する。

奥秩父主稜線の樹林帯

奥秩父主稜線の樹林帯

甲武信ヶ岳の山頂直下から樹林帯に入る。樹林帯の中では風がぴたりと止む。耳を澄ませば、風上でザワザワと風が木々に当たる音が聞こえる。木々が風を防いでくれる。ありがたいことだ。ミズシの分岐まではしっかりとしたトレースがあり、ラッキー、と思いながらつぼ足で歩いていたが、その先には消えかけた逆向きのスノーシューのトレースがあるのみ。だんだん雪も深くなり、ルートをはずすと膝まで潜る。富士見の先でワカンをつける。本当の雪山らしくなってきた。

奥秩父・両門の頭付近

奥秩父・両門の頭付近

風がないと言っても気温がかなり低いため、日のあたらない森の中は寒い。ところがぽっと開けた稜線にでて日に当たると日差しがポカポカと暖かい。気温-15℃でも暖かく感じる太陽は偉大だ。しばらく日向ぼっこをして体を温める。そして先を見ると…3時間以上歩いたのにぜんぜん国師岳が近づいていない。雪が深いためにかなり時間をとられている。

富士見から国師岳に稜線に沿って南下する。南側斜面はところどころテカテカに凍ってワカンが滑り、北側斜面は膝までの積雪と厄介なルートだ。途中、氷に滑って肘を強打、思い切りテンションが下がる。国師ノタル付近で反対側から来た登山者に会う。大弛峠からつぼ足でここまで来たとのこと。6時間以上かかってここまでか…つぼ足では間違いなく今日中には甲武信ヶ岳にはたどり着くまい。という我々も今日中に国師岳にたどり着くかどうか…。

奥秩父国師岳の登りのラッセル

奥秩父国師岳の登りのラッセル

国師ノタルを過ぎると国師岳への長い登りが始まる。雪はますます深くなり、場所によっては膝を越える。斜面に足を乗せるたびに足元が崩れずり落ちる。すれ違った登山者のつぼ足の深いトレースがさらに事態をややこしくさせる。トップを交代しながらひたすらラッセルを続けるが、雪がないときの半分くらいの速さでしか進めない。太陽はどんどん低く、弱くなり、あたりを夕暮れの冷たい空気が漂う。冬山のこの雰囲気は好きだけど、行動中に味わうのは嫌だ~。

山中の行動限界と決めている4時を過ぎた。4時半、国師岳の直下に平坦な場所を見つけテントを張ってビバークした。ヘトヘトになってなだれ込むようにテントに入る。凍らないようにザックの背に入れてあった水が半分凍っていた。
 昨日の余裕のサイトとは打って変わって、さっさと食事を作り(ペミカンカレーでよかった~)、さっさと食べて、さっさと寝る。

(次回に続く)

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