ペンギンに会いにビーグル水道へ~南米・パタゴニアの旅(20)

1/6 ウスアイア滞在(マルティアル氷河、ビーグル水道クルーズ)

前回の続き) 

110106フエゴ島・ビーグル水道クルーズ出港

ダウンを着込み、冷たい風が吹くデッキで今か今かと待っていた。そして、15:30、滑るようにクルーザーが動きだした。ビーグル水道クルーズの始まりだ。桟橋に係留してあった他のクルーザーも一斉に動き出し、競争するかのようにウスアイア湾の出口を目指して進む。

船が動き出すと、乗客は船の一番後ろに集まってきて、遠ざかるウスアイアの街並みを写真におさめていた。

110106フエゴ島・ウスアイア港のコンテナ船

ウスアイアの港には客船だけでなく、貨物船も多く停泊している。パナマ運河開通後は海運の要所の地位を失ったが、今なお交易は活発なようだ。

それにしても後の山はエライとんがってるな。登れるかな?

110106フエゴ島・ビーグル水道のオタリアの島、ロス・ロボス島が見えてきた

ウスアイア湾を出ると小さな岩礁が見えてきた。まわりになめるように船がたかっている。

110106フエゴ島・ウスアイア、ビーグル海峡ロス・ロボス島に近づく

クルーズ最初のみどころはオタリアの島、ロボス島だ。オタリアとはアシカでもアザラシでもない動物らしいが、私にはアシカに見える。とにかくそのオタリアの憩いの場所になっている島だ。何艘ものクルーザーが速度を落とし、島にギリギリまで近寄る。乗客は少しでもオタリアに近づこうと、身を乗り出すようにして写真を撮る。

110106フエゴ島・ビーグル水道、ロス・ロボス島のオタリア

ほとんどのオタリアは気持よさそうに寝ている。

110106フエゴ島・ビーグル水道、ウミウの島ロス・パハロス島

オタリアの島を後にしたクルーザーは次にウミウの島ロス・パハロス島に接近する。昆布のような海草が茂る海に囲まれた岩礁は、海鳥の糞で真っ白になっている。その岩礁にウミウがびっしり。遠目にはペンギンの大群に見える。まあ、「ペンギン」という名前がもともとはオオウミガラスという海鳥の名前だったので、海鳥がペンギンに見えてもおかしくないか。

魚はいないかと、ゆったりと波打つ海草の海に目を凝らす。でもクラゲがぷかぷかしているだけだった。

110106フエゴ島・世界最南端の村、プエルト・ウイリアムス
ウスアイアは世界最南端の「都市」である。そして世界最南端の「町」は別にある。それがこのウスアイアの対岸にあるチリ領・Puerto Williamsだ。人口2000人ほどで結構大きな町だ。
 風が強く波は荒くなってきた。外にいると波しぶきをかぶるので船室に入る。山ガールっぽい女の子がいた。案の定、日本人だった。1人でこんなところまで来るなんてすごいな~。次の目的地に着くまで、旅や山の話で盛り上がる。

110106フエゴ島・ビーグル水道のペンギンの島、ゲーブル島

船内アナウンスがあり、クルーザーは速度を落とし陸地に近づく。乗客はわれ先にクルーザーの先頭に突進する。ペンギンの海岸に到着だ!自称ペンギン評論家の私も、ウスアイアにはペンギンを見に来たようなものだから、人を押しのけて船の先端に行く。そしてクルーザーは砂浜に乗り上げて停止した。

110106フエゴ島・ビーグル水道ケーブル島の浜で泳ぐペンギン達

浜にはペンギンが群れている。浜に乗り上げた船を気にする様子もなく、泳いだり走ったり、羽をパタパタさせたりしている。これはちょっとした驚きだった。今まで見た野生のペンギン達はかなり臆病で、日中、泳いでいないときには物陰に隠れ、物音がするとその場でフリーズしていた。でも、ここのペンギンは楽しくのびのび遊んでいるように見える。

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ユーモラスなペンギン達を見ていると時間がたつのを忘れる。

110106フエゴ島・ビーグル水道、ケーブル島のペンギン親子

親子。親の後を灰色の子供がひょこひょこついて歩く。

110106フエゴ島・ビーグル水道、ペンギンが遠ざかる

クルーザーは再びエンジンを起動し、ゆっくりとバックを始め陸から離れる。ペンギン達がゴマ粒のように小さくなってゆく。このペンギン達がいつまでもこうやって遊んでいられる海でありますように。

行きは良い良い帰りは怖い。いや、怖くはないけど、海はますます荒れ、雨まで降りだした。来るときは時間が短く感じたが、船内に閉じ込められた帰りはいやに長い。9時近くなり、腹も減りうんざりしてきた頃やっとウスアイアの街に帰還。

110106フエゴ島・ウスアイア、レストランArcoIrisの食事
夕食はかねてから決めていたレストラン「Arco Iris」。Parrolla(南米式焼肉)の食べ放題だ。店の一角で、薪で牛や羊の1匹丸焼きを焼いている。薪のスモークの香りが香ばしい。そこで、牛の背中(ヒレ肉)を指差し、指で3cmくらいのゼスチャーをして焼きたてを切り取ってもらう。めちゃくちゃ食い応えあり。

110106フエゴ島・ウスアイアのレストランArcoIris2

二皿目はラムのアバラ肉を切り取ってもらう。おっ!大発見。Malbecと相性抜群。Malbecはアルゼンチンを代表するブドウだが、このワインは今までに飲んだことのないくらい、重厚で力強く、どんな料理に合わせていいか分からなかった。でもうまみは強いものの、ちょっとしつこいくらいの油がある、ラムのばら肉にぴったりだった。ここで腹いっぱいだが、せっかくなので、デザートも二皿食べる。

肉のほかにもサラダやシーフード、中華などのおかずも食べ放題。アルゼンチンでは下手すると牛肉とジャガイモしか食べられないので、サラダがうまい。これでA42$ととてもお得。

110106フエゴ島・ウスアイアの家電屋
1人でワイン1本分空け、いい気分で宿にもどる。途中「WINNER」というカメラ屋があった。そこにはPanasonic、SONY、Nikonの文字が。日本企業はこんなところでも物を売っている。法人税下げろとか、リストラするとか言っている会社!文句を言う前に世界の果てまで行って商売をしろ!…と、ここにもSAMSUNGが進出してきている。恐るべし。

次回に続く)

2件のフィードバック

  1. ひら より:

    さすが望遠!
    オタリアが近いですねー。
    私のオタリアは小さかったです・・
    四月から転勤で東京に行くことになりましたよー!
    希望してたので嬉しい。
    しかし生活費はかかりそーだ 笑
    また機会があれば是非山でも行きましょう!

  2. 惰性人 より:

    ひらさん、こんにちは、
    オタリアの写真はブレの少ない写真からめいっぱい拡大しました。実はもとの写真は4枚目と同じくらいです…
    よかったですね、憧れの東京暮らし。

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