世界の果て、ウスアイアへ~南米・パタゴニアの旅(17)


1/5 プエルト・ナタレス~マゼラン海峡(Estrecho de Magallanes)~ウスアイア(Ushuaia)

前回の続き)

110105マゼラン海峡・イロワケイルカのジャンプ

あっ、跳んだ!おじさん、手がじゃま!

ボーリングのピンを大きくしたようなものが、海面をジャンプした。何匹もフェリーのそばにやってきて、すごいスピードでヒュンヒュンとフェリーの下に潜ったり、フェリーを追い越してジャンプしたり、まるでフェリーと遊んでいるかのようだ。

たくさん群れているが、あまりの速さにカメラのフォーカスが追いつかず、レリーズラグでシャッターのタイミングが合わない。適当にカメラを向けて、パチパチとやみくもにシャッターを切り続ける。

110105マゼラン海峡のイロワケイルカ
フェリーのまわりを跳ね回る彼らは、「イロワケイルカ」。主にマゼラン海峡の周辺に生息する小型のイルカだ。

110105マゼラン海峡・対岸のフエゴ島
対岸のフエゴ島が近づき、イルカ達はどこかへ帰っていった。フエゴ島はまっ平らで、どこにフェリーの船着場があるのか分からないくらいなにもなかった。
 フエゴ島に上陸したのは午後2時。これから九州ほどの大きさのあるこの島を縦断し、南端のウスアイアに向かう。いったいいつ着くんだろう…

110105フエゴ島もずっと牧場

思ったとおり、フエゴ島も牧場。九州くらいの島がずっと牧場。ただ、ところどころに潅木の茂みがあるので、かつては木が茂っていたに違いない。広大な自然破壊。牧場のなか、真っ直ぐに続く砂利道をバスは猛スピードでとばす。

景色が変わらず、やることがないのでウォークマンのスイッチを入れる。宇多田光が「人はなぜ歌うの~」と歌っている。なぜなら、それは人は誰にでも、いつかは歌えなくなる時がやってくるからだ。それまで思い思いに歌うんだ。

110105フエゴ島・サンセバスチャンで休憩

チリ・アルゼンチン国境が近づいた頃、荒野のど真ん中にポツリと建つホステリアで休憩。体が傾くほどの風が音を立てて吹き荒れている。

すでに4時半だが、バスが3時間ほど遅れていることを考えると、ここで昼食をとるための休憩だ。でもあいにく、チリペソをほとんど使い切っている私は何も買えず、強風が吹き荒れる中をうろうろしながら写真を撮る。

110105フエゴ島・サンセバスチャンのドライブインのルピナス

建物の裏手に大きなルピナスが咲いていた。牧場にルピナスが咲いているのを良く見る。チリの人はルピナスが好きなのかな。それともこれは雑草?

110105フエゴ島・チリ、アルゼンチン国境イミグレーション
ホステリアからすぐにチリのイミグレーション到着。ここで全員降りてぞろぞろと並んで、パスポートのチェックを受ける。終わったと思って、バスに乗り込むとすぐに税関で荷物のチェック。荷物を持ってぞろぞろ並ぶ。そして今度はアルゼンチンのイミグレと税関…ここは乗客はバスに乗ったまま、乗務員がパスポートを集めて手続きするが、30分以上待つ。時間が…

110105フエゴ島・トルインの夕暮れ1

アルゼンチンに入国すると舗装道路に変わり、バスはスピードをあげウスアイアに向かって突き進む。やがて牧場が終わり、雪を抱いた山脈が近づいてくる。トルレインに向けてのアンデス越えだ。ああ、すでに到着予定時刻の7時を過ぎ、陽は傾いて夜の闇が降り始めている。

110105フエゴ島・トルインの夕暮れ2

足元に夕暮れの空を映す氷河湖を望み、急峻な山肌のガゲ際のヘアピンカーブをバスは行く。懸垂氷河を持つ山々が赤く染まる、カールの底に広がる広大な湿原に夕日がきらめく、次々と目の前に絶景が現われる。ぜひともトレッキングしたいところだが、それよりもなによりも、早くウスアイアについて欲しい。予約した宿に遅れるとの連絡を入れていないので、部屋を残しておいてくれているかも心配だ。

110105フエゴ島・ウスアイア到着

アンデス越えの道が下り坂になりほどなくして、商店や整備工場などのたちならぶ港町に入っていった。ウスアイアだ。バスが港のそばのターミナルで停車したそのとき、ホッとした乗客から拍手が起きる。

10時55分。着いた。12/27にブエノスアイレスを発って、バスに揺られること3250km、世界の果て、世界最南端の都市ウスアイアについてやって来た。海岸に沿ってならぶ街灯の光が美しかった。

地図を見ながら不安な思いで、予約した宿に向かう。坂の多い街路をたどり、目的のこじんまりしたB&Bを見つけて、ドアに手をかけた瞬間に中から扉が開いて、笑みを浮かべた女性が招き入れてくれた。私の到着をずっと待っていてくれたらしい。ああ、ここですべての緊張がとけた。

110105フエゴ島・ウスアイアのカフェ、タンテ・サラ
なにはともあれ夕食を食べに出る。この時間はレストランは閉まっているが、カフェは午前2時くらいまでやっている。アルゼンチンではカフェは朝から深夜までやっているので、何かと便利だ。地球の歩き方に載っている”Tante Sara”を見つけて入る。しゃれたカフェでステーキを頼む。ステーキもかなりしゃれていた(=量の割には高い)。

110105フエゴ島・夜更けのウスアイア

ステーキの付け合せのポテトでお腹いっぱいになり、ワインもまわってきて、いい気分で宿に戻る。宿は坂の上にあり、南のウスアイア湾の眺めがいい。海の向こうにはまた山並みが見え、その背後の空は12時半を過ぎているというのに、ほのかに赤い残照に染まっている。そして視線を上げると逆さになった南十字星があった。今まで何度も南十字星を見てるが、逆さは初めてだ。ウスアイアは南緯55度。ここまで来ると南十字星は沈むことなく天の南極のまわりをまわり続ける。

次回に続く)

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